IT業界の多重構造問題とその生き抜き方

最近こたつに入ったまま寝てしまって朝を迎えてしまうことが度々発生しております。皆様もご注意下さい。風邪ひきそうだし、朝起きると随分とかさかさになっております。乾燥大敵。

IT業界は多重構造になっている

さて、IT業界に従事する方であれば歪になっているIT業界構造の事は何となくご存知かと思います。と言っても下請け的な立場で受けている会社のエンジニアさんは教育制度がしっかりしていない事や、会社が意図的に教えていない事もあるので意外とエンジニアさんはその辺のお話しを知らなかったりします。私はエンジニア時代、あまりその辺の知識については疎かったです。現場の仕事に追われてそれどころじゃなかったし、そもそもそこまで頭が回っていないというか。

よく問題として取り上げられるのがIT業界の多重構造問題です。
要はこんな感じ。

顧客:仕事を依頼する会社
元請:顧客から仕事を受けて作ったりして納める会社
下請:元請会社から仕事をもらって受けた仕事を元請に納める会社

そして営業界隈ではこの会社間の繋がりを商流って呼んでます。

多重構造の商流
※手書きでざっくり味のある感じに仕上げました

顧客含めて関係している会社が3社程度ならまだいいのですが、ここ最近は…というより以前からですがこの多重化がもっと多い場合は下請けの下に孫請けがいて、ひ孫請がいて、玄孫請けがいて…と、営業の立場にいると1人のエンジニアに対して7、8社が絡んでいるような事もよく聞きます。

何故ここまで多重化が進んでいるのか

この多重にならなきゃいけない理由として、一つは各社が抱えているエンジニアの数が限られており、仕事を請けてもそれに対応するエンジニアがいないという現状です。
顧客、元請、下請で対応するエンジニアがおらず、更に別の会社に投げてる感じ。いなかったらさらに他へとたらい回し全開です。結果として色んな会社を経ていく事になって、最終的には何社も関わる状態になっているわけです。

他にも大手企業には毎日にのように仕事を請け負わせて欲しい企業が訪ねてきます。大手企業としてもそれを毎日毎日、どんな会社でもいいよーというわけにはいかないのです。会社によっては経営状況が思わしくないと、契約を結んでてても突然倒産しましたと言われても困るし、プロジェクトに影響を与えかねません。なので大半の大手企業とは、取引しようと思ったら自社の経営状況が一定以上のラインを達していないとそもそも仕事を請けさせてもらえません。なので敢えて他の会社を経由して仕事をもらってたりする例が多くあります。

そもそも業務を請け負ったり委託したり、エンジニアを派遣したりしてるんですが、これらを形成しているのは会社であり、会社役員・営業担当者達だったりします。もちろん私も含めてですが、その人たちの人間関係があるわけで、顧客と仲良いからと仕事を分けてもらったりして関係性を築いてたりします。まあよく飲みに行く仲だからとか、ゴルフ仲間だからとかなんやかんやとありますが。そんな人間関係が影響して形成されている面もあります。

他にも大小色んな理由はあるかもしれませんが、何だかんだで多重構造が形作られています。

得をする人

このIT業界が多重構造をしている事で恩恵を受けている会社や人たちがいます。それはもちろん元請側です。自社の社員だけで賄えないのでアウトソーシングしているわけですが、ここ最近は直下にいる下請け企業だけでも賄えなくなっている実情があります。かと言ってあんまり幅広い会社と付き合っていると管理も出来ないわけで、そこにコストを掛けるのもあれだし、出来れば付き合う企業は固めてしまいたいわけですよ。上記みたいな取引が可能になる基準もありますしね。
となると孫請けはさらにほかの会社を探して再委託をするわけですが、だからと言って元請側としては支払う金額は同じだし、自分のところの手間も省けるし、必要なエンジニアを集めてくださいと依頼するだけです。なんてお手軽。
なので多重化してくれていれば、自分たちの手間は増えず自然とエンジニアも集まってくれる構造が完成します。何か手間が増えるわけではないので、正直得する事しかない。なんか問題が起きれば孫請けの責任にしておけばいいですしね。

損をする人

このIT業界の多重化構造で損をする人はもちろん孫請け以下にいる下請け企業です。多重構造で問題になるのは、結局会社が間に入れば入るだけ、マージンを持って行ってしまいます。構造の上にいれば上にいる程大きなマージンを取っています。まあリスク対策のためなど理由もあるのですが、自社としての利益の方がもちろん理由としては大きいでしょう。元請が得ている利益として大体一つのプロジェクトで20~40%程と認識ています。そして多重構造になればなるほど、下請けの下請けにいるような企業には報酬が少なくなります。それは同時に会社の売り上げはもちろんの事、そこに所属しているエンジニアへの報酬も少なくなります。ただ業界を支えているのは、この薄給で働くエンジニアたちです。

なので巷ではIT業界は意外と給与が低いとか、ブラック企業が多いとか、あまり良い噂が立たない気がします。いやまあ実際この構造の影響で会社によってはほんと薄給ですけど。

簡単に言うと上の方に立っている者が富を得て、下にいる者は搾取されるピラミッド構造になっています。あるべき姿と言えば、そうなのかもしれませんが。

違法行為

これらに挙げた多重構造化しているIT業界ですが、ただ多重であるだけなら問題はないのですが、中には多数の違法契約が乱立していることが法的な問題でもあります。
大体良く取り上げられるのは多重派遣。毎年見せしめ的な意味だとは思うのですが、若干数の企業が厚生労働省や労働局から取り上げられています。二重派遣や偽装請負がどうとか言い出したら話が膨らみ過ぎて内容が明後日の方向に行ってしまいそうなのであまり深く取り上げたりはしませんが、多重構造になってしまったが故に必然的にこれらの違法行為も同時に乱立することになってしまっています。法的な意味ではNGです。IT業界に法令順守(コンプライアンス順守)という言葉は似つかわしくないのかもしれません。だめじゃん。

その報道プレスは厚生労働省のHPに今でもPDFで公開されています。別に取り上げられた企業に対して個人的に何かあるわけじゃないのでURLまでは張りませんが。見ていると大体年1回ペースでIT企業の二重派遣が取り上げられています。

多重構造が解消される日は来るのか

海外ではこういった多重構造が少ないと話を聞いていたのでちょっと調べてみたんですが…。

SIガラパゴス、多重下請け構造の終焉の始まり
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140613/563842/?ST=system&P=1

日本のIT業界を「SIガラパゴス」と言う前に知っておきたい海外ベンダ事情
http://getlife.hateblo.jp/entry/2014/06/17/034345

米国IT業界に過去あった多重下請構造、それが破壊された理由
http://getlife.hateblo.jp/entry/2014/06/19/034109

日本と違って多国籍が絡んではいるけども、意外と海外でも多重構造になっている事実。
やっぱ何だかんだで似たような構造してるんですね。米国だけちょっと特殊っていうか、それが進化形なのか、ガラパゴスなのか。

今後将来的に日本国内の多重構造が解消されるのかどうかって話になると、私個人的には解消は難しいと考えています。
まず日本国内だけで多重構造の解消がされるかというとこれがまた難しい話で、政府主導で法整備を行って半強制的にこの状態を解決していくなら話は別ですが、現状としてはそれをしても混乱するのは目に見えています。そういう意味では半強制的に解消を図っていく必要はないわけです。この多重構造になっていること自体が致命的な問題にもなっていないので。
オフショアなど海外の影響を受けてこの多重構造が解消するかというと、それも無いかと思っています。日本は日本語という独自の言語を用いており、20年前に比べれば日本人も英語を使える人が増えた気がしますが、まだまだIT業界のエンジニアは英語を活用できるまでではないです。正直私も苦手です。そんなエンジニアやSE、PM達が円滑にオフショアを回せない現実がまだまだあります。その状態でオフショアで下請けの仕事が無くなるのかというとそれもないかと。オフショアの技術力は高まっているようですが、日本の海外対応が全く追いついていない事が原因です。
あまり新しいデータが見つからなかったのですが、2013年の段階でもそれほどオフショアの割合が増えているようには見えませんでした。ほんとざっくしか見てないけど。

グローバル/オフショア動向調査(2013年)
http://www.ipa.go.jp/files/000027251.pdf

まあそんなわけで結果として多重構造は変わりません。

多重構造のIT業界での生き残り方

じゃあ結果としてどのようにこの業界で生きていけば良いのか。どのようにすれば生き抜けるのか。答えは非常にシンプルです。

会社はより技術力・営業力を高めて、財政体力をつけ、会社としての信頼を得て事業の拡大を目指す。結果として顧客に近い立場で仕事を請ける事が出来れば増収増益に繋がります。

エンジニアはある程度方針をしっかり見据えて・決めて技術を磨く。これだけは自信があると言えるくらいの技術を身に付ける。後は自分自身を評価してもらえる会社に所属しましょう。どのフェーズで力を生かすかはあなたの考えと見合う会社次第です。

まあ当たり前の話です。会社もエンジニアもダラダラしていれば時代において行かれるだけです。どんな仕事をしていても、どんな業界にいても、ぬるま湯に浸かっていたらいつの間にやら置いてきぼりです。IT業界は他の業界に比べて非常にテンポが速いので尚更です。

つまらないオチで恐縮ではございますが。日々精進のみです。私めは日々精進し過ぎで体重増加中です。

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