IT業界が激変する(かもしれない)派遣法改正

記念すべき1件目の記事です。しょっぱなの記事から何かそれなりに重たいテーマを選んでしまいました。まあリアルタイムにネタがあった事をむしろ喜びたいとこです。

派遣法改正でIT業界にも影響があるって話だけどなんで?

一応派遣法改正があるらしい、業界に影響があるらしいってことは皆さんご存知ってことで話は進めさせてもらいます。まさに7月8日に参院で審議が始まりました。基本的には今国会で成立されると思われます。メディアでは派遣期間の変更に関する事ばかり取り上げられており、あまりIT業界には大きく影響がないに感じられますが、実は大いに関係があります。ってことでIT業界目線で派遣法改正についてまとめてみました。ざっくりまとめた感じなのはご愛嬌。

特定労働者派遣事業の廃止

派遣契約を結ぶには「派遣事業」の免許が必要です。その免許は2種類あって。「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣事業」。そのうちの「特定労働者派遣事業」が廃止になってしまいます。
細かいことはググってもらうとしまして、特定派遣の特徴として届出制の為に、どんな事業者でも免許を取得できてしまう点にありました。なので起業したばかりの会社でもすぐに届け出さえすれば取得できました。要は国に「私、今日から派遣業やりますー」と申請出したら無条件に許可されます。なので「じゃあ自分も起業して今日から派遣業をやっちゃうぞー!」みたいな軽い感じで小規模な零細企業が無数に増えています。

特定労働者派遣事業(廃止)
事業者:派遣業やりたいです
国:おっけー
 
一般労働者派遣事業(継続)
 事業者:派遣業やりたいです
国:じゃあ審査します
かなり厳しい可否判断

まあ事業者が増えるだけならまだ問題はないですが、それがきっかけで多重派遣などの悪質な契約形態での契約が増えたりして結果として労働者は低賃金での契約を結ぶ事が原因となり、下記に書いてますが社員に支払われる給与も低賃金になってしまう原因にもなっています。

派遣期間制限

基本的にIT業界で現場常駐・出向している皆さんは関係がなかったので全く意識をしていなかったと思いますが、「情報処理システム開発」を含む26業務という指定の職種については派遣期間が定められていませんでした。ただそれも今回の派遣法改正で撤廃されます。つまり同じ現場に3年以上は常駐出来ません。それ以上常駐する場合は、顧客先が本人を直接雇用する必要が出てきてしまいます。まあすんなり雇用してくれるなら、それが所属会社としても本人としても納得のいく結果であるなら問題ないのですが、顧客からしたら解雇しやすいようにアウトソーシングに頼っているのに。所属としては自社の技術者が離れてしまう。という結果にしかならないので、双方としても基本的に望まれる結果ではないのですね。
結果として今後は保守だろうが運用だろうがサポート業務などであろうが、その人がどれだけ評価が良くても、最大で3年しか同じ現場には参画できないわけです。 ポジティブに受け取れば俗人化しないで現場もシステマチックな体制作りになるきっかけにはなるので良いのですが、ネガティブな考えをするのであれば好ましくは感じませんね。

派遣期間(IT関連)
現行:無期限
改正:最大3年

派遣労働者の均衡待遇の確保

今回の派遣法改正の裏には派遣労働者の待遇(所得)の問題がありました。実際収入としては低い人も少なくはないと考えています。逆にスキルや経験の豊富な方はそこらの正社員よりも良い待遇を受けている場合もありますけどね。で、その待遇を改善していくことも目的の一つと挙げられています。つまり…。

顧客先の正社員の給与 = 派遣社員の給与

って感じにしましょうってことです。

IT以外の業界さんについては詳しくは自分も理解していない部分が多いので語れませんが、少なくともIT業界での低所得問題については構造上の問題です。中間業者が入っていることでマージンを中抜きしてしまっているので、最終的に労働者に渡る給与が低くなってしまっている。ってことが問題です。そのために「特定派遣の廃止」を盛り込んで、中抜き業者を排除していきましょう。って話なんだと思います。これについては賛成ですが。これを解決して派遣労働者の待遇を正社員同等にするという点をコミットするなら、そもそもとしてIT業界の構造改革が必須です。

労働者が低賃金になる構図
「顧客:1100万円くらいで、こういうシステム作ってほしい」
「SIer:分かりました、エンジニアが足りないから600万円で10人探そう」
売上 :1100万円
支払い:-600万円
給与 :-60万円(1人)
利益 :340万円)
「システム会社:10人もいないので5人出します、あと5人250万円で探そう」
売上 :700万円
給与 :-225万円(45万円給与×5人)
支払い:-250万円
利益 :225万円
「小さなシステム会社:5人出します」
売上 :250万円
給与 :175万円(35万円給与×5人)
利益 :75万円
 
って感じで小さなシステム会社にいると払ってもらえる給与も随分少なくなっちゃいます。この例はめちゃくちゃシンプルに書き出していることはご理解下さい。細かく書くと大変だし分かりにくくなる。

 キャリアアップの推進

これら上記と併せて検討されているのが…。

労働者に対して派遣事業元(所属元)がキャリア形成支援を実施することを義務付ける

というものです。
簡単に言うと社員を適切に教育して育成しなさい。ってことです。
ここ最近中小企業でも教育に力を入れている会社が増えてきていますが、まだまだリソース不足で出来ていない会社が多い気がします。せいぜい新規採用者を外部研修に出して、帰ってきたら出向ーって感じが大半ですかね。
この「キャリアアップ推進」がどこからどこまでをいうのか、規定が曖昧なままにされると思うので、どこまでとは言えないでしょうが、一定の教育はやっていかなければならないのは必須です。 これの理想は法的に引っかからない為に行う教育ではなく、社員の技術力を高める事を目的とした教育を行う企業が増えてくれることを祈るばかりです。その結果として技術力の高いエンジニアがわんさか出てきて、クリエイティブなアイデアと製品が生まれると良いのですが。

一旦ここまで

とりあえずざっくりIT業界に関係してくる派遣法改正についてざっくりした話です。
次は派遣法改正が施行されるとどういったことになってくるのか、どういった問題が発生するのかってことを書きたいと思います。かしこ。

 

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